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リトアニア旅行 6 (十字架の岡と、ラウリナスさんのとっておきの場所)

kawa02.gif


その日、ラウリナスさんはお仕事でカウナス周辺を写真で撮影して回る用事があった。
私と姉は仕事のついでに十字架の丘に連れて行ってもらうことになった。
会話は英語だが、私も姉もほとんど話せない。(書道教室のときはAちゃんが通訳してくれた)
一日目の日記で書いたように、私の英語力などはあの有様だ。
あんな具合に会話が通じない二人を、こうしてつれて歩いてくれるのだから、(しかも仕事中に)
これがどんなに大変なことかお分かりだろう。

Aちゃんが言っていた、「リトアニアの人は、過酷な歴史的経験をしたためか非常に人見知りで、初めはとても冷たい。けど、一度打ち解ければ、家族のように暖かくつきあってくれる」という言葉を思い出した。
(その話を聞いたとき、街中で通りがかりの女性に道を聞いて冷たく一瞥をくれて無視された事にも納得した。リトアニアの女性は美しいので、その目にはこちらの身が凍るような凄みがあった;)

ラウリナスさんは時々道に車を止めて、デジタル一丸レフで森や川を撮っていた。
職場のカメラだという。写真は何につかうの?と聞くと、これは建設予定地の視察なのだという。
リトアニアは2007年にユーロを導入し、経済発展の一途をたどっている。
自分のやっている建築の仕事は将来性がある と語るラウリナスさんの表情に、
素朴でまっすぐな魂を持つリトアニアの人々の、
これからの国の発展に向けて、夢や希望を持って向かっている生の姿を、初めて見た気がした。

昼過ぎに、十字架の丘に到着した。
360度まっすぐに広がる地平に、小さく土を持ったような岡があった。
近づいて行くと、何台もの観光バスが停まっている様子が見えてきた。
車を降りると、青い空をバックにぎっしりと黒っぽい十字架が立っている。
一番目立っている木製のキリスト像は三メートルもあるだろうか、
その下に大小のある十字架にさらに小さな十字架が鈴なり状にぶら下がっている。
ここに誰が始めて十字架を立てたのかはわからない。リトアニアにはもともと、道の近くに木製の十字架(土着の自然崇拝時代の文化にカトリックが融合して生まれた文化だという)を立てるという習慣があるから、はじめは自然とそこに立てられたのだろう。
ロシア帝国にこの信仰を禁止され、抑圧がはじまってもここに十字架を立てに来る人は絶えなかった。そればかりか、政府によって十字架がなぎ倒されても、夜になると誰かがこっそりと、十字架を立てに来て結局もとのようになったという。
リトアニアが独立を果たして、この土地はリトアニア民族の信仰の象徴となり、リトアニアに住む人ばかりでなく、国外からも多くの人々がここに足を運ぶようになった。
日本からの観光客も多い。

十字架の岡からの帰り道、私達は川沿いを走った。
川沿いには古い城がいくつも点在していて、誰かが管理しているようだった。
自然のままの川辺には、昔ながらの家々が立ち並び、その庭先にはミツバチを飼う箱がおいてある。
しかし、ここはもうカウナスのすぐ近くで、車があれば15分かそこらでカウナスの中心部に出れてしまう。
ここも視察対象らしく、ラウリナスさんは幾枚か写真を撮った。
リトアニアに住む人間ではないから、こんなことを言う資格はないのかもしれないが、
こんなに綺麗な場所に沢山人が引っ越して来て、景観が悪くなるのかと思うと
残念でならない。

途中、ラウリナスさんがお気に入りの場所に案内してくれるという。
「いってみる?」というので、私達は、是非!とうなずいた。

kawa.gif

お気に入りの場所というのは、川沿いの、小高い岡だった。
岡の上に登って行くと、丁度てっぺんに窪みがあった。
かつて、ここで火を焚いてノロシを立てたらしい。
城から城へ、この方法で情報を伝えていた。ここはその名残なのだそうだ。
ここも見晴らしが良い。
岡のふもとでは小さな家々がそろそろ夕飯の準備にとりかかっているのだろうか。
対岸では一点、焚き火が赤く輝き、煙が立ち昇りって空へと続いていた。
夕暮れの川には薄くモヤがかかっている。

二人組みの少女達がお互いよりそうように、てっぺんのベンチに座って長いおしゃべりをしていた。
(私達も長い間そこにいた)
やがて夕日が木々の間に沈むと、二人の少女は岡を下りていった。
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  1. 2007/11/29(木) 18:07:13|
  2. その他(旅の記録等)
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